「工芸・藍のかおり工房」

これが創業110年の県下唯一の藍の型染工房です。

「藍染なら他にもあるのでは?」

何が唯一かというと「藍」で「型染」していることです。型を使う染物といえば江戸小紋や友禅が有名ですが、どちらもカラフルなイメージですよね。

明治や大正時代に様々な染料が日本にもたらされ、もともと藍型染をしていた染物屋は「売れる」反物を作るためカラフルな染料を我先にと、取り入れました。

こちらの工房はその波に乗ることなく、藍で型染することを続けていたそうです。

「乗り遅れたんですけどね」
とお話しになっていましたが、その時のブームに乗っていたら多くの染物屋さんと同じように無くなっていたかもしれません。

型染に使う型紙には穴が空いています。この型紙を布に乗せ、餅粉で作った糊(日本の伝統の技術にはよく餅が使われます)を塗ります。

すると布に型紙通りの糊が残ります。この布を藍で染め、糊を洗い落とすと糊の部分だけが白く残るわけです。

藍は蒅(すくも)を発酵させることで染料となります。発酵には温度管理がつきものなので「藍染に適した季節はいつですか」と質問しました。

「春から秋までですね」
「やはり藍の発酵が関係しますか」

「いや、寒いと糊がひび割れるから…」

餅粉で作った糊が寒さに弱いから、という意外な理由でした。聞いてみないとわからないものです。

型を乗せて糊を塗る、一枚ずつの丁寧な仕事。大量生産はできなさそうな技法ですが、型染だからできる素敵なものが数多くありました。

裏と表の模様が違う不思議な手拭いが目を引きました。この布で浴衣を作ったらちょっと粋ですね。木綿の単衣のはずなのに、風にそよいだ裾の裏が違う色、なんて素敵ですよね。

松本ジャポニスムで、普段使いできる「藍のかおり工房」の小物たちを手に取ってみてください。


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