お稽古風景②地唄三味

箏、地唄三味線、尺八の合奏のことを「三曲」といいます。今回はその地唄三味線(三絃とも言う)の教室にお邪魔しました。

「花簪」という曲のお稽古中でした。ニ挺の三味線が、それぞれ違う手を弾く合奏をしていましたが、部屋中が雅な音に包まれていました。

地唄というと箏がつきものですが、箏と同様、地唄三味線の音もかなり雅やかです。

これは奏法の違いもありますが、楽器や道具にもよるのかもしれません。

だって撥が大きいもの。これは撥の重さを使って弾くために、大きく重くできているそうです。

そして駒。重りが入っています。
少し太めの音はこの駒によるものです。

三味線音楽のなかでは最も長い歴史を持っている地唄の三味線。生まれは上方。雅で少し太めの音は上方好みの音なんです。

地唄の曲は幅広く無数にあります。時代の風に上手く乗り続けながら、その時代ごとにたくさんの曲が作られてきました。

曲の由来に想いを馳せながらお稽古するのも楽しいですね。

それから地唄のお稽古の魅力といえば、箏と三味線の合奏ができること!先生が箏を弾いて生徒さんが三味線、生徒さんが箏で先生が三味線、そんな贅沢な稽古ができるのです。

そんな羨ましい稽古をしている地唄・箏曲は松本ジャポニスムのステージ最初の11:00からです。
雅な四柱神社の舞台をお見逃しなく!


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「工芸・藍のかおり工房」

これが創業110年の県下唯一の藍の型染工房です。

「藍染なら他にもあるのでは?」

何が唯一かというと「藍」で「型染」していることです。型を使う染物といえば江戸小紋や友禅が有名ですが、どちらもカラフルなイメージですよね。

明治や大正時代に様々な染料が日本にもたらされ、もともと藍型染をしていた染物屋は「売れる」反物を作るためカラフルな染料を我先にと、取り入れました。

こちらの工房はその波に乗ることなく、藍で型染することを続けていたそうです。

「乗り遅れたんですけどね」
とお話しになっていましたが、その時のブームに乗っていたら多くの染物屋さんと同じように無くなっていたかもしれません。

型染に使う型紙には穴が空いています。この型紙を布に乗せ、餅粉で作った糊(日本の伝統の技術にはよく餅が使われます)を塗ります。

すると布に型紙通りの糊が残ります。この布を藍で染め、糊を洗い落とすと糊の部分だけが白く残るわけです。

藍は蒅(すくも)を発酵させることで染料となります。発酵には温度管理がつきものなので「藍染に適した季節はいつですか」と質問しました。

「春から秋までですね」
「やはり藍の発酵が関係しますか」

「いや、寒いと糊がひび割れるから…」

餅粉で作った糊が寒さに弱いから、という意外な理由でした。聞いてみないとわからないものです。

型を乗せて糊を塗る、一枚ずつの丁寧な仕事。大量生産はできなさそうな技法ですが、型染だからできる素敵なものが数多くありました。

裏と表の模様が違う不思議な手拭いが目を引きました。この布で浴衣を作ったらちょっと粋ですね。木綿の単衣のはずなのに、風にそよいだ裾の裏が違う色、なんて素敵ですよね。

松本ジャポニスムで、普段使いできる「藍のかおり工房」の小物たちを手に取ってみてください。


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第20回松本かえるまつり「かえる市場」公募開始について

@nawatekaeru Instagramのかえるまつりアカウントより、6月25日に開催される第20回松本かえるまつりの出展者様の公募が20日から始まるとの発表がありました。

申込順ではありませんので、記載のある募集要項等を十分にご確認の上、お申込み下さいませ。

各店舗の店主達もなわて通りが沢山のカエラーの皆様で賑やかになる日を楽しみにしています。


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稽古場風景

①端唄・松本知優佳会

松本ジャポニスム初参加の松本知優佳会(まつもとともゆかかい)のお稽古場にお邪魔してまいりました。

お稽古場は埋橋の燦翔館の中。明るくて落ち着きのある和室で行われています。

軽やかな三味線の音とともに「猫じゃ猫じゃ」が聴こえてきました。︎

猫じゃ猫じゃとおっしゃいますが 猫が 猫が下駄履いて 絞りの浴衣で来るものか

これ、何を唄っているかというと、浮気現場に踏み込んだ場面を歌詞にしているんですね。

急に帰ってきた旦那に驚いて、浮気相手を押し入れかなんかに隠してみたけど、物音がしてしまう。
「あれはなんだ」と尋ねる旦那に「ありゃ猫じゃ」と言い訳するお妾さん。「この浴衣と下駄も猫のものだというのか」と問い詰められるシーンなんです。

端唄の面白さは歌詞にあると思います。この「猫じゃ猫じゃ」は「おっちょこちょい節」の中のひとつであり、他にもたくさん歌詞があって、一番、二番とかそういうことではなく「猫じゃ猫じゃ〜」で始まるヤツ、という意味でそう呼ばれているだけなんです。

とにかく歌詞がたくさんある。たくさんあるけど一曲は短く、言葉数は少ない。そこに込められた意味を読みとって面白がる。そんな遊び心を知るのがたまらなく楽しい。それが端唄です。

端唄の三味線は、耳にやわらかく軽く華やかな音色です。これもまた三味線のひとつの顔ですね。

講師は花季真優美さん。お稽古中もコロコロとよく笑い、こちらもつられて楽しくなってしまいました。

質問にも気持ちよく答えていただき「やっぱり端唄は楽しいな」とウキウキ気分で帰ったのでした。

4月16日、松本ジャポニスム
端唄・松本知優佳会の出演は13:40から!
お囃子入りで賑やかに、お座敷の世界へご案内!15時からのワークショップでは端唄の三味線を体験できます!端唄ならでは、を感じてもらおうと工夫しました。こちらもご参加ください!


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「沈金体験」

松本ジャポニスム初回から続けている沈金のワークショップを先駆けて体験してみました。

漆芸の中でもあまり知られていない技法かと思われますので、ざっくり簡単に説明を。

漆に埋め込んだ綺麗な貝などを研ぎ出したりして装飾する螺鈿細工、漆に金粉などを蒔くことで模様を作る蒔絵などがありますが、漆に直接絵を描けるのが沈金です。

直接絵を描く、といっても漆の塗面に筆や鉛筆で描いてもすぐ取れてしまいます。

どうするかというと、筆の代わりに刃物で描き、金粉などで模様を浮き上がらせるのです。

ではワークショップの様子をどうぞ。

①まずは筆替わりの沈金刀(ちんきんとう)で練習板に直線、曲線を描く練習をします。

描く、とは言いましたが、鉛筆で描くように滑らかではないです。結構コツがありそうで、探りながらやっています。すでにかなり面白いです。

少し慣れたらいよいよ本番です。ツヤツヤの菓子皿に絵を入れていきます。

②先生の持ってきた図案のなかから好きなものを選びます。羽子板の羽根に挑戦。

トレーシングペーパーの裏にキオウという顔料を塗り、菓子皿にトレースします。

③沈金刀で彫っていきます。すでに完成された漆器に刃物をあてるのは緊張します。

④カリカリと彫り進め、何とか終わりました。

ここからは生漆を使うので、先生の作業です。漆かぶれはこわいですからね。

⑤彫ったところが溝になっているので、そこに生漆を塗り込みます。それを拭き取ると溝だけに漆が残ります。接着剤ですね。そこに金粉をのせます。

⑥図案が浮き上がりました。「おお!」となります。

⑦ここから着色していきます。顔料をのせてから優しく拭き取るとカラフルな羽根ができました。

触れられるほど乾くのに一晩くらいかかるそうなので、紙に包んでお持ち帰りです。忘れて触ってしまうと大変なことになるので気をつけて保管しましょう。

もの作りの好きな方は間違いなく楽しめます。是非ご参加ください。

あなたも松本ジャポニスムで沈金作品を作ってみませんか。所要時間は2時間程度。参加費は3500円です。

沈金体験は4月16日松本ジャポニスム、縄手通り東側の漆工芸のブースで当日受付です。


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「伝統工芸のご案内」

4月16日の松本ジャポニスムの大事な柱のひとつ、伝統工芸のブースをご紹介します。

    1. 四柱神社境内では…

      「あめ細工ななこ」昨年、大人気だった飴細工。飴細工が出来上がっていく様子を見ることができます。可愛すぎて食べられない!

      「ハリコチドリ」
      こちらも人気の張り子細工です。松本だるまやカータリ伝説に発想を得たりしているそうですが、世界観が独特でオモシロコワカワイイ!

      「藍のかおり工房」
      日本人が古くから利用してきた藍染ですが、こちらも松本の人々を支えてきた歴史ある藍染工房です。使いやすい身の回りの小物を揃えました。

    2. 大鳥居周辺では…
      「へんみ櫛店」
      伝統のお六櫛を作り続けている逸見さん。髪に優しいお六櫛ですが、それを普段使いにすることが心も豊かにしてくれるのではないでしょうか。
      「開高窯」
      開田高原に穴窯を持ち、ひとり作品づくりに没頭する。そんな彼の生き様が表れた作品です。
    3. 縄手通り東側では…
      「沈金作家・片桐秀和」
      日差しに弱い漆は縄手通り東側にあります。繊細な沈金ですが、こっそりお見せします。

      「小坂進うるし工房」
      実は昨年、伝統芸能の先生の箏を塗った塗師として展示で参加をされていた小坂さん。今回は漆芸の美しさをたっぷり見せてくれます!

もちろん、ワークショップもあります!
「沈金体験」と「櫛挽き体験」をご用意しました。今回は予約なしで参加できます。
「沈金体験」は縄手通り東側の漆工芸のブースへ、「櫛挽き体験」は大鳥居近くのお六櫛のブースへ直接お越しください!


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「四柱神社・伝統芸能の舞台」

4月16日松本ジャポニスムでは松本に教室を持つ伝統芸能を紹介しています。

11:00〜 箏曲・地唄
今回は箏の演奏で幕が開けます。箏、尺八、地唄の三味線、どれも「にっぽんの音」そのもので、心に沁みます。

11:35〜 子ども舞踊
華やかな子ども舞踊。「うちの子にもやらせようかな」なんて思わせる舞台を目指してお稽古中です。

12:00〜 長唄・囃子
お囃子の解説と、長唄の演奏です。長唄三味線の張りのある華やかさと面白い歌詞、それをお囃子が盛り立てます。見どころいっぱいの楽しい舞台です。

12:40〜 吟詠・詩舞(ぎんえい・しぶ)
今回の初参加、詩吟の登場です。日本語の迫力に驚くことでしょう。時間が短いです。お見逃しなく!

12:47〜 田口恵 おたのしみ日本舞踊
今年はなにを舞ってくれるのでしょう。芯のある日本舞踊をご覧ください。

13:05〜 津軽三味線
三味線の中でもとりわけ勢いのある津軽三味線の登場です。話題の宮沢三姉妹も登場します!

13:40〜 端唄・囃子
初参加の松本知優佳会とお囃子の舞台です。端唄は遊び心たっぷりの歌詞が魅力です。お囃子が入って賑やかに。柔らかな三味線もいいものですよ!

14:10〜 能楽
毎年序を飾っていただいている能楽ですが、今年は最後を締めくくります。シンプルなのに重厚感。不思議な魅力の芸能を、その目でご確認ください。

15:00〜 ワークショップ
終演後は無料のワークショップを開催します。今回は「能楽」「端唄」「詩舞(しぶ)」。
能楽の所作や能囃子の体験、端唄の三味線を弾いてみたり、詩舞のワークショップで舞扇をヒラヒラさせてみよう!


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松本ジャポニスム、無事終了いたしました。

四柱神社神楽殿で行われた「伝統芸能」の舞台は、たくさんの人ご来場いただき、最初から最後まで大いに盛り上がりました。参加型の舞台もいくつかあり、みんなで型を真似たり唄ったりもしました。ワークショップも多くの人に体験していただきました。身近に感じられる機会となったのではないでしょうか。
出演いただいた先生方には心より御礼申し上げます。四柱神社の舞台は素晴らしいものになりました。

大鳥居周辺では「伝統工芸」のブースも盛況でした。ワークショップ、それぞれに工夫を凝らしていただきました。ホクホクで作品を見せてくれた参加者の方、嬉しそうでした。工芸の五月実行委員会と出展者の皆さまにもお世話になりました。ありがとうございます。松本の伝統工芸もまだまだ力を秘めています。今後も気軽なスタイルで多くの人に届けていきたいと思います。

「にっぽんいろいろ」企画も充実でした。笑顔をたくさん見ることができました。非常に盛り上がり驚いています。
皆さまにはお忙しい中、時間を作って企画を練り準備していただき頭が上がりません。ありがとうございます。

そして興味を持ってご来場いただいた皆さまにも感謝申し上げます。ありがとうございました。またお会いできる日を楽しみにしております。


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松本の街と芸能

かつての松本は芸どころでした。裏町、天神、そして浅間温泉。三味線や舞踊、唄にお囃子、自慢の腕を競い合う芸者さんがたくさん居ました。芸を教える師匠も教室もそこかしこにあり、上手い人も下手な人もそれは熱心に稽古をしていました。
想像してみてください。裏町で長唄の稽古をした芸者さんがお座敷までの短い自由時間に下馬出町の塩川であんみつを食べながらおしゃべりしたり、縄手横丁の細い路地から清元の語りが聴こえてきたり、普段はさえないおじさんが宴会になると嬉々として舞踊を披露したり。もっと昔は義太夫を唸ったりしていたそうです。何とも楽しそうではありませんか。
でもそれも昔のこと。
私にそれを語ってくれた師匠、芸者さんたちも、ひとり、ふたりと旅立ってしまいました。寂しさとともに危機感に近い感覚を感じていました。もったいないなぁ、と思うのです。ずっとそう思いながら何もせず時が過ぎてゆきました。
そこにやってきたのが新型ウイルス。私も多くの人と同じように引きこもり、考えました。これが長く続いたとしたら、今、松本に残っている教室も遠くに引き上げてしまうかもしれない。芸能の良さを知る人間として、それはあまりに悲しい想像でした。何かできることがあるのではないかと考え、出した答えがこのイベントでした。
各教室の先生方にご協力いただき、素人ながら奮闘して何とか第一回「春の御庭と春の路」を開催することができました。
そして今年、たくさんの人のご協力を得て第二回「松本ジャポニスム」を開催いたします。「工芸の五月」の皆さまにお手伝いいただいたことで、伝統工芸もより充実したものになります。「にっぽん」の良さ、楽しさを見つけていただければ、これほど嬉しいことはありません。
「松本ジャポニスム」、間もなく開催です。4月17日、お見逃しなき様、重ねて御願い申し上げます。


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